無視させるコマンド”リーブイット”の教え方~上級者向け犬のしつけ術~

あなたがご飯を床に落としてしまった時のことを思い出してみてください。もしかしたら玉ねぎを使った料理を落としてしまうことがあるかもしれません。あなたの愛犬は落としたご飯を食べようとしますか?それとも放っておくことが出来ますか?

隙あらばご飯をとってやろうとするよりも、床に落ちたものはなんでも食べて良いわけではない、ことを理解している方が安心できますよね。食べ物を含め、食べてはいけないものや咥えてはいけないものを愛犬に伝えるためのコマンドが”リーブイット(Leave it)”です。”食べるな”や”ちょうだい”と教えている人もいます。今回は犬の命にも関わる”リーブイット”の教え方についてです。

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今日の記事もぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

“リーブイット”を愛犬に教えるための準備

”リーブイット”の最終的な目標は飼い主の指示がない限り、犬が勝手に落ちたものを拾わないようにすることです。常に飼い主が見ているとは限らないので、”リーブイット”と合図を出す余裕がない時もあります。なので愛犬が、何かが落ちているのを見つけた時に、飼い主を見て許可をもらおうとするようになるのが理想です。

多くの犬にとって、これはとても難しいことです。しっかりとステップを踏んで、犬に自制心を身につけさせましょう。

無視させるコマンドの前に食べても良いコマンドを教える

食べてはいけないことを教えるためには、まず先に”テイクイット(Take it)”食べても良いよ、というコマンドを教える必要があります。目的は、食べても良いよ、という指示があるまで我慢を覚えさせること。また、我慢をすれば良いことがあると教えることです。”テイクイット”を教えれば何を食べてよくて、何がダメなのかを伝えることができるようになります。

  1. ”グー”の手の中におやつを持ちます。愛犬を自由にしてあなたの手からおやつを取らせようとさせてください。
  2. 愛犬がおやつを取ろうとするのをやめたらすぐに”クリック”もしくはそれにかわる言葉を言います。その後手を開いて”テイクイット”等の決めた合図を使いながら、おやつを与えます。ポイントは、犬がおやつに興味を示さないことでおやつがもらえる、ということです。
  3. 何度も繰り返していると、愛犬は手から離れたりします。1、2秒待ってから、”テイクイット”等合図を出しておやつをあげます。
  4. ”パー”にした手のひらの上におやつを置きます。愛犬がおやつを食べようとしたら、”グー”にしておやつをにぎり、犬が無視するまで待ちます。関心を失ったところで、”テイクイット”等の合図を出しておやつをあげます。

愛犬への”リーブイット”の教え方

愛犬が”テイクイット”の合図があるまで手のひらの上のおやつを無視するようになりましたか?無視するようになれば、指示があるまでは放っておくという選択肢を犬が取れるようになったということです。少なくとも、飼い主の手のひらの上にあるものに関しては無視ができます。これを床の上に落ちているものへと広げていきましょう。

  1. おやつを床に置き、その上から手を被せます。愛犬に自由におやつを取らせてようとしてください。犬が取ろうとするのをやめたらすぐにクリック!ご褒美をあげます。ただし、床に置いたおやつは与えてはいけません!必ず別のおやつをあげてください。結局、床に落ちた玉ねぎを犬が食べてはダメなのです。なので床にあるおやつを与えないことで、落ちているものを手にいれる、という経験を犬にさせないようにします。与えるおやつは床に置いたものより、犬にとって価値の高いものを選んでください。こうすることで、”リーブイット”の指示を聞けば、より良いもの手にいれられると理解させます。
  2. 愛犬が手の下のおやつを無視して、その場を離れようとしたら次のステップです。手をどかしてみましょう。ただし、いつでもすぐに手で隠せるようにしていてください。ここでのゴールは手で隠していないおやつを無視できるようになることです。犬が目をそらしたり、姿勢を変えたり、おやつに注意を向けていない素振りがあれば”クリック”、床にあるものより良いおやつを与えます。
  3. ここからは犬にリードをつけ、飼い主は立ってトレーニングをします。ですが基本的にやることは先ほどまでと同じです。違う点はおやつを手で隠すのではなく、足で隠して行います。リードはもしも間違って愛犬がおやつを食べそうになった時に止めるためです。
  4. 飼い主がご飯を床に落とした時に、愛犬が食べ物を放っておくようになれば、あなたの犬はすでに高いレベルで我慢ができるようになっています。これでようやく”リーブイット”を教える準備が整いました。”リーブイット”と合図を出してから、おやつを床に落とします。愛犬がおやつを無視したら”クリック”。落としたものより価値の高いおやつをご褒美で与えます。何度も繰り返すことで犬は”リーブイット”の意味を理解するようになります。
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トレーニング途中では絶対に、犬が床のおやつを手に入れられた、という成功経験を与えないようにしてください。

実用的なレベルまで”リーブイット”をトレーニングしよう

家の中よりも外の世界の方が犬にとって危険や誘惑が多くあります。生ごみが落ちているかもしれません。散歩中に食べてはいけないものを無視できるようになるまで、”リーブイット”コマンドを練習しましょう。

  1. このトレーニングは屋外で行います。地面に犬があまり好きではないおやつを並べます。おやつ同士は数メートルずつ離してください。おやつの横を歩く際に”リーブイット”と合図を出します。初めのうちは、1つのおやつを無視できる度にクリックして価値の高いおやつをあげるようにします。犬が落ちているおやつを食べようとした場合は、すぐに足でブロックしたり、リードを使って犬が食べないようにします。
  2. 1つのおやつを無視できるようになったら、いくつか並べたおやつを通りすぎてみましょう。もちろん”リーブイット”と指示を出すのをお忘れなく。成功したらおやつに加え、お気に入りのおもちゃを与えるなど何か特別な褒め方をしてください。”リーブイット”をすることで犬にとって大きな意味があることをわかりやすく伝えましょう。
  3. 屋外の色々なところで上記を繰り返します。お庭、公園、歩道の上、トレーニングする場所は多ければ多いほど良いです。
  4. 床におとすおやつをボールやおもちゃなどにかえます。これは”リーブイット”のコマンドを食べ物だけでなく、あなたが犬に咥えられたくないもの全てに使えるようにするためです。

落ちているものだけでなく動くものも無視できる

愛犬が”リーブイット”をできるようになったら、猫や自転車、他の犬等でも無視できるか挑戦してみましょう。もちろんいつもより良いご褒美を準備することを忘れずに!ただし、犬の状態を見て”リーブイット”の指示を出しても聞いてくれなさそう、と分かったら”リーブイット”と言わないようにしてください。できないのに指示を出すと合図の価値が無くなったり、混乱につながります。犬の気が散る中での”リーブイット”トレーニングを行い、指示を守れるようになるまでまた練習です。

愛犬に新しいコマンドを教える際のワンポイントアドバイス

今回の”テイクイット”と”リーブイット”の教え方の中には、できないことを叱るという項目は1つもありません。犬のトレーニングではできることに焦点をあて、褒めて褒めて、また褒める!

簡単なことでもできたら褒める。少しずつステップアップしていくのが基本です。他のトレーニングやしつけでも同じです。褒めて教えましょう。

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コマンドトレーニングする際に共通して気をつけることが1つあります。それは口頭でコマンドを出すときは極力、成功体験が得られる時のみにするということ。できないのにコマンドを出し続けると、犬は指示されている内容を理解できません。

今日のまとめ

・”リーブイット”は犬に無視をさせるためのコマンド

・教えることはかなり根気がいる

・犬の関心をコントロールできれば命を助けられるかもしれない

・できないことを叱るのではなく、良い行いを誉めることがトレーニングの基本

・愛犬と楽しくトレーニングしよう

今回紹介した手順で”リーブイット”を教えることで犬は自分を制御して、落ちている食べ物を無視することを身につけます。高度なレベルまで”リーブイット”を練習することで、犬ではなく飼い主が何を食べたら安全かを決めることができるようになります。そして食べ物だけでなく、全てのものにコマンドの意味を広げるトレーニングをした後は、犬の行動をコントロールし、危険や問題行動から避けられるようになります。

教える難易度は間違いなく最上級。ですが”リーブイット”、無視させるコマンドを使いこなせるまでトレーニングすれば、どこに行っても心配はありません。他にもしつけや問題行動のなおし方等を紹介しているので、よければ他の記事も参考にしていただければ幸いです。

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今日も最後までお読みいただきありがとうございます!ではっ。