犬を飼い始めたらすぐに教えたいコマンド”タッチ”の教え方と発展的な使い方

犬が人間と比較して優れている能力といえば”嗅覚”です。つまり鼻を使った能力。人間が目で情報を判断するように、犬は多くのことを鼻で判断しています。犬にとって鼻は人間以上に大切な部位です。

当記事ではそんな犬の鼻をコントロールする重要性と、”タッチ”と私が呼んでいるトリックの教え方についてです。タッチとは犬の鼻先を指示したところに文字通り”タッチ”させること。犬の鼻がガイドとなって、犬の注意を飼い主が指示した方向へ向けさせるときに役立ちます。それだけでなく、犬のポジションを教える時にも使える、実用的なトリックです。

基本のしつけが終わり、何か新しいトリックを教えたいという方はまず初めにタッチを教えることをオススメしています。個人的には全ての犬が”タッチ”をできるようにトレーニングをした方が良いと思っているほど。基本的な”タッチ”を習得するレベルは、”おすわり”や”ふせ”よりも低いです。

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6ステップで簡単!自宅でできる”タッチ”の教え方

犬は本能的にあらゆるものの匂いを嗅ごうとします。あなたの手も例外ではありません。なので、”タッチ”トレーニングは手のひらを使って行います。犬が手のひらへのタッチを完全にできるようになったら、特定の物へのタッチへとレベルアップも可能です。このトレーニングでは犬が正しい行いができていることを伝えるのにクリッカーがあれば便利です。なくとも”そう!”、”はい!”、”良い子”など、クリッカーの役割に代用しているフレーズでも大丈夫です。

  1. 手のひらを広げ、体から10センチほど離す。
  2. 犬に手のひらの匂いを嗅がせる。犬の鼻が手のひらに触れた瞬間にクリック!犬を褒めて、手のひらを広げたまま、手のひらの目の前でおやつをあげます。鼻のポジションが重要だというメッセージになります。
  3. 繰り返し行う。愛犬が喜んで手のひらに鼻をタッチしにくるまで何度も繰り返してください。気を散らすものを最小限に減らし、可能であれば色々な場所でトレーニングを行います。
  4. 成功率が十分に高くなってから”タッチ”と口頭での合図をだす。手のひらを出す前に”タッチ”と言って、犬が手のひらに触れたらクリック!ご褒美タイムです。
  5. 離れたところからの挑戦。最初は数十センチからはじめて、1メートル2メートルと少しずつ距離を広げていきます。手のひらの位置を高くしたり低くしたり、体の近くにしたり遠くにしたり、と変えるようにします。
  6. 最後の段階、犬の気を散らすものがある環境でのトレーニング。自分以外の家族が何かをしている途中や、散歩の途中など。チャンスがあればいつでもトレーニングできます。

愛犬に”タッチ”を教えるときに気を付けるポイント

飼い主も犬も一緒に楽しみながらトレーニングする

私の経験から言えることはほとんど全ての犬がこの”タッチ”遊びが大好きということです。というのも他のしつけと比べて、犬にとっては簡単にご褒美がもらえるから。”ふせ”等と比べてもシンプルですからね。愛犬がこの遊びのルールを理解したら、ご褒美を与えるタッチを少しずつ厳しくしても良いかもしれません。表現が難しいのですが、具体的には犬のやる気のあるタッチにはご褒美、渋々タッチしに来た時にはご褒美をあげない、といった感じです。

そもそも犬が手のひらを匂いを嗅いでくれない時

おそらく、この”タッチ”トリックを教えるのに1番つまずきやすいポイントは1番最初。犬に手のひらの匂いを嗅がせること。最初の数回は匂いの強いおやつを手のひらに擦り付けて匂いを移すと、あら不思議、簡単にタッチを覚えてくれます。特に愛犬が好きなおやつがわかっていれば、そのおやつの匂いを使ってください。なければ新しいおやつの匂いを使うのがオススメです。知らない匂いに犬は敏感なものです。

それでもうまくいかない、もちろんそういったケースもあります。この場合は飼い主から、手のひらを犬の鼻に近づけたり、少し手のひらに犬が動き出しただけでクリック!ご褒美をあげてください。少しずつ、愛犬が手のひらに鼻をタッチするまでレベルをあげていってください。

タッチ中級犬向け!アイテムへのタッチの教え方

ステップ①手で持っているアイテムへタッチ

手のひらへの”タッチ”をマスターしたら次のステップです。タッチを手のひらだけでなく、他のアイテムへもできるようにしましょう。使うものは付箋でも、クリアファイルでもなんでも良いです。ただし、手のひら全体を覆える大きさが望ましいです。

教え方はシンプル。タッチさせたいアイテムを持って、タッチの指示を出すだけ。こうすれば犬はそのアイテムへタッチするしかありません。できたらクリック!褒めておやつをあげましょう。

もしタッチできない場合は先ほど同様、おやつの匂いをアイテムに移してあげて下さい。

ステップ②飼い主と愛犬が離れていてもタッチ

ここまで、手のタッチと物へのタッチが簡単にできた子もここからが難しいポイントです。根気よく練習してください。1日でマスターできるものではないので、できないからと焦らないように!

アイテムへのタッチに犬が慣れてきたら、次のステップです。アイテムの持ち方を指先でつまむようにしてみましょう。いきなり指先で持つのではなく、少しずつ持ち方を変えていくと成功しやすいです。そしてアイテムを床につけてみたり、最終的には手から離してもアイテムにタッチするようにします。

ここまでできたら、先ほどと同じです。少しずつ距離を伸ばしたり、犬の気を散らすものがある環境でのトレーニングの時間ですね。チャンスがあればいつでもトレーニングしてみてください。毎日コツコツが大切です。

タッチを発展させて愛犬に新しいトリックを教える

飼い主が指示した場所へ愛犬を誘導する方法

当たり前ですが、犬の体は鼻を追うようについてきます。これを利用して犬のポジションを指示するトレーニングが可能です。座っている状態の犬にタッチの合図を出して立った姿勢にすることが1つの例です。”おすわり”や”ふせ”を教えても”たて”と言ったコマンドを教えている人は少ないですよね。

”ヒール”や”つけ”といったコマンドを聞いたことはありますか?飼い主の横にピッタリとくっついたポジションに犬を誘導するコマンドのことです。こういったポジションを正確に教える際にも”タッチ”をを活かすことが出来ます。一般的にはおやつでヒールポジションまで誘導する方法が有名です。タッチを覚えていなければ、私もおやつで誘導しますが、”タッチ”ができる子であればトレーニングの時間は短くて済みます

他にも”スピン”や”アラウンド”と呼ばれるような、飼い主の体をぐるっと回るトリックも習得できます。教え方は、犬にタッチをさせたまま、地面と平行に円を描くように手を動かすだけです。これを何度も繰り返し教えていけば”スピン”を覚えさせることはできます。

愛犬の悪い癖、習慣を直す方法

かなり発展した使い方ですが、タッチはこんな使い方もできる、というものをいくつか紹介します。

✅吠え癖を辞めさせる
まずベルを用意します。そしてお散歩の前にベルを鳴らす習慣と、愛犬にベルへのタッチを教えます。そうすると散歩に行きたい時に吠えていた犬が、代わりにベルをタッチして鳴らすようになります。犬にとって、散歩に行きたいと飼い主に伝えるコミュニケーション方法が、吠える、ではなくベルにタッチとなるわけです。

✅人への飛びつく癖の矯正
人に飛びつく癖のある子には、友人やお客様に手のひらを出してもらって、タッチを愛犬の挨拶へと変えていきましょう。飛びついた時には無視、タッチできたら遊んであげることを繰り返すことで飛びつきがなおる犬もいます。

他にも使い方は工夫次第で、さまざまなことができるタッチ。ぜひ教えてあげてください。

”タッチ”は飼い主と愛犬のコミュニケーションの手段

”タッチ”を基本のしつけの次に教えるようにしている1番の理由は、タッチが万能で犬をコントロールしやすいからです。”おすわり”や”まて”は1つのアクションを教えるものですが、タッチはその次にある行動に繋げやすいコマンドと言えます。犬の注意を飼い主の思う方向へ向けさせるのにタッチほど簡単なものはおそらく無いでしょう。犬とのコミュニケーションを図る上で、飼い主が伝えたいことを犬に理解させる方法はシンプルな方が良いです。タッチを活かして、これからも犬との生活を楽しんでください。

コミュニケーションが取れれば問題行動が減る

先ほどもいくつかタッチによる問題行動をやめさせる例を紹介しました。問題行動というのは人間にとって問題に見えているだけで、犬にしてみたら何が問題なのかわかっていないケースがほとんどです。吠え癖や飛びつく癖というのは、犬にとってはただのコミュニケーション手段。それを人間と犬との共通言語として”タッチ”を使いましょうというのが理想です。

他にも散歩で問題行動がある犬の矯正にも”タッチ”は役立ちます。自転車を追いかけたり、他の犬を見ると吠えてしまう。これは先ほど紹介した2つの問題行動とは種類の違った問題行動だと考えています。先ほどの2つは犬が人間とのコミュニケーション方法を知らなかったから起きるトラブルです。しかし自転車を追いかけたり、他の犬に吠える、というのは人とのコミュニケーションでのトラブルではありません。

こういった問題行動も”タッチ”で改善できます。本当に便利です。こういったトラブルは、そもそも問題行動が起こる対象を見て、それに集中してしまった結果、起きてしまいます。冒頭にも触れたように、タッチは犬の注意を飼い主が指示した方向へ向けさせる指示です。問題行動を起こす対象がわかったら、別のアイテムや人に注意を向けることで犬の意識を別のところへ誘導しましょう。

今日のまとめ

・タッチは犬の注意をコントロールするのに役立つトリック

・愛犬に教えるのは”おすわり”よりもシンプルで簡単

・手へのタッチだけでなく、物へのタッチまで教えたい

・犬と人とのコミュニケーションツールとしてタッチを活かそう

・トレーニングは常に人も犬も楽しめるように!

子犬を迎えたばかりで”おすわり”もまだうまくいかない、という場合は1番初めにタッチ”を教えてあげても良いかと思います。なんと言っても教えるのが簡単ですからね。先にタッチができようになれば、”おすわり”や”ふせ”の姿勢までタッチで誘導して教える、なんて方法もあります。

おまけ:よくある質問に答えます。

”犬が言うことを聞くようにするにはどうすればいいですか?”とよく聞かれます。言うことを聞いてくれないと感じてしまう原因は、犬と人とのコミュニケーションにズレがあるからだと私は考えています。犬が欲求を伝えるための行動が、人間にとっては問題行動になってしまう。それなら、人間に伝わる欲求の伝え方、を犬に教えてあげれば良い。その方法の1つが”タッチ”です。

反対に、人間が犬にこれをして欲しい、と伝えるための手段として”クリッカー”というものがあります。”犬が言うことを聞くようにするにはどうすればいいですか?”に対してシンプルに答えるなら、”タッチ”を教えることと”クリッカー”を使うこと、となります。当ブログでは他にも基本のしつけ術や問題行動のなおし方を発信しています。参考になれば幸いです。(アメリカンケネルクラブ参考サイト)

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