子犬を育てていく中で、あなたと愛犬の一生の中では様々な問題が起こることでしょう。分離不安症もその一つ。もしかしたらあなたの愛犬にとっての最初の問題行動かもしれませんね。犬の分離不安症を正しく理解することで、症状の予防や兆候に対処する、ちょっとした工夫を身につけましょう。
当記事では主に子犬の分離不安症に焦点を当てた内容となっています。ですが、成犬でも分離不安症を発症する可能性はあります。今まで問題がなかった犬だとしても、分離不安症の兆候を知ることで、万が一の際にすぐに対応ができるようになります。
今日の記事もぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
分離不安症を一言で説明すると「犬を1人にした状態になると極度のストレス状態に陥ること」です。子犬、成犬に症状の差はありません。犬によって細かな症状・行動の違いはありますが、総じて家に1人でいることに対して極度の恐怖を感じているように振る舞うことが特徴です。一種のパニックによる発作と捉えることもできます。
この記事を読んでいる時点で、すでにある程度の知識と子犬を迎える準備ができている事と思います。少なくとも子犬を大事に育てようという気持ちは間違いないはずです。子犬の基本的しつけやクレートトレーニング、社会化トレーニング、そして1人で遊ぶ方法を教えることは全て分離不安症の予防につながります。そのため、これから紹介する方法の多くはすでに行っている可能性のあるものばかりかもしれません。その一方で、犬の分離不安症特有の問題もあることも忘れてはいけません。
分離不安症は恐らく、多くの人が想像するよりも深刻な状態です。飼い主が外出する時、すすり泣くように吠えたり、1人でお留守番している間におもちゃや靴下を破ってしまう。こういった行動を遥かに超えているのが犬の分離不安症です。また、退屈だからイタズラ行動に出るものでもありません。1人でいることに対する、極度のストレスの結果が分離不安症です。
そのため、子犬がお留守番している間にクッションをビリビリにしたり、トイレを失敗したことを安易に分離不安症と結びつける前に、まずはこれまでのトレーニングを振り返るようにしましょう。1人で過ごすためのクレートトレードはできていますか?トイレトレーニングはもう完璧ですか?1人の時間の過ごし方を練習しましたか?子犬の行動が分離不安症なのか判断する前に、もう一度今までのしつけがうまくいっているのか確認してみてください。
ITの活用で子犬の状態を把握しよう
また、近年はITの進歩のおかげで外出先からも家の様子が分かるようになってきました。飼い主がいない間の過ごし方を知ることで、子犬の状態をより正確に理解することができます。安いものであれば5,000円前後から購入でき、外出先からリアルタイムで映像を見れます。
音声を送ることもできるので、外出先から愛犬に話しかけることも可能。最初のうちは飼い主の姿が見えないのに声だけが届くので戸惑うかもしれません。うまく活用できれば、子犬と飼い主のコミュニケーション向上に役立つことでしょう。
犬が極度のストレス状態に陥るのが分離不安症。そのため、具体的な症状・問題行動には犬によって差がある場合があります。下記が一般的な症状の例。このうち1つ、2つ、それもたまにしか当てはまらないという場合は分離不安症ではなく、トレーニング不足の可能性があります。
- 外出準備を始めると震えたり泣いたりと、不安による行動
- 過度に吠える
- 特にドアの周りで噛んだり、掘ろうとしたりする破壊的行動
- トイレの失敗
- 食欲の低下
- 過度な唾液分泌、よだれ、嗚咽
- 部屋から逃げ出そうと暴れている
残念ながら上記の問題行動は、それが分離不安症に基づくかどうかに関わらず、犬を手放す代表的な原因でもあります。分離不安症にならないために、知識を身につけ適切なトレーニングを積むことで、飼い主も犬も幸せな一生を送れることを願っています。
子犬の方が分離不安症を発症しやすいのは事実ですが、成犬が発症しないというわけではありません。子犬を飼っている方、成犬を飼っている方ともに、何がきっかけで分離不安症を起こすのかを知ることで、対応も変わってくることでしょう。
分離不安症になるきっかけの例
- 一部の保護犬のように家族との別れがトラウマとなっている
- これまで1人で過ごしたことがない
- 飼い主がいない間に来客があった(祖父母、ご近所さん等)
- 新しい家への引っ越し
- 家族の死や子供の大学進出等による家族構成の変化
飼い主がいない間に起きた、ちょっとした出来事がトラウマになり、分離不安症に陥る可能性もあります。また、近年の研究では毎日の運動不足が分離不安症の原因という研究結果もあるようです。
分離不安症を予防することはできない?
残念ながら犬の分離不安症は、最善の準備をしたとしても必ず予防できるとは限りません。そして1度分離不安症になると、治療がとても大変なのが特徴です。自分たちだけ解決しようと試行錯誤し、悩んだ結果として犬を手放すこともあるのが現実です。予兆を感じたら、悪化する前にトレーナーさんやブリーダーさん、動物病院で相談し、プロの助けを得ることをお勧めします。
子犬を飼い始めたばかりの人にとっては、子犬が1人でお留守番をすることは当たり前のように感じるかもしれません。ですが、犬は本来、群れを作って生活をする、とても社会的な動物です。時に子犬は親から離れることは生存に直結する問題です。そのため本能的に危険を感じて、分離不安症を発症しやすいのも当たり前とも考えられます。
夫婦共働きだと、なかなか時間の都合が難しいかもしれません。それでも子犬の頃は、なるべく一緒に過ごす時間を作ってあげることが、分離不安症を予防する特効薬かもしれませんね。
今日も最後までお読みいただきありがとうございます!ではっ。